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お役立ちコラム介護介護DX

介護AIで現場はどう変わる?見守り・記録・予測までの活用法と導入手順を解説

介護AIは、職員の業務負担を減らしながら、利用者一人ひとりのケアを支える手段として広がりつつあります。本記事では、できること・活用場面・メリットと課題・導入手順を、通所介護や施設の現場目線で整理します。

この記事でわかること

介護AIは「見守り・記録支援・予測支援」を軸に業務を助ける手段

介護ロボットや生成AIとの違いを整理し、人の判断が必要な業務と切り分けて考えます。

見守り・記録・情報共有・予測の4つの活用場面がある

転倒検知や音声入力による記録効率化など、現場で使われている具体例を紹介します。

メリットと課題を両面から理解できる

負担軽減や安全性向上の一方で、費用・誤判定・個人情報保護への対応が論点になります。

現場に定着させる導入手順がわかる

課題の見える化から試験運用、職員教育、補助金・ベンダー比較まで段階的に解説します。

この記事の監修者
坂本憲太
坂本 憲太(作業療法士/株式会社テクリコ)
京都大学大学院医学研究科修士課程修了。大学病院での作業療法士としての臨床・研究経験を経て、2020年より株式会社テクリコに参画。MR技術を活用したリハビリテーション機器の研究開発、医療機器関連業務、学術連携、製品化・事業推進に携わる。

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介護AIは人のケアを支えながら業務負担を減らす手段

介護AIとは、人工知能を使って介護現場の業務や利用者の状態把握を支援する仕組みの総称です。職員の代わりに介護をするものではなく、記録や見守りといった作業を助け、人が本来注力すべきケアに時間を割けるようにする手段として位置づけられます。まずは、何ができて、他の技術と何が違い、どこまで任せてよいのかを整理します。

介護AIでできることは見守り・記録支援・予測支援

介護AIの機能は、大きく3つに分けられます。

  • 見守り
    センサーやカメラの映像を解析し、転倒やベッドからの離床を検知
  • 記録支援
    音声入力した内容を介護記録の文章に整形
  • 予測支援
    蓄積したデータからリスクの高い利用者を抽出

たとえば夜勤帯の巡視では、居室ごとに訪室する負担が大きく、訪室のたびに利用者の睡眠を妨げるという課題があります。見守りセンサーで呼吸や体動の変化を捉えられれば、異変の可能性が高い居室に絞って対応できます。すべてを自動化するのではなく、職員の判断材料を増やす点が介護AIの役割です。

介護AIと介護ロボットと生成AIの違いを整理する

この3つは混同されがちですが、指す範囲が異なります。以下に違いを整理します。

用語主な意味介護現場での例
介護AIデータ解析や判断支援を行うソフトウェアの総称転倒検知、記録の自動整形
介護ロボット物理的な動作を伴う機器(AIを搭載する場合もある)移乗支援機器、コミュニケーションロボット
生成AI文章や画像を生成するAIの一分野音声メモから介護記録の下書きを作成

介護ロボットのなかにはAIを搭載しないものもあり、逆に介護AIは必ずしも機器を伴いません。生成AIは介護AIの一分野で、近年は記録支援の中心的な技術として注目されています。区別を曖昧にすると、ベンダー選定の際に「何を解決したいのか」がぶれる原因になります。

介護AIが向いている業務と人の判断が必要な業務を分けて考える

介護AIと人とでは、得意とする業務が異なります。

AIが得意とする業務
  • 繰り返しが多く定型的な作業
  • 大量のデータから傾向を読み取る作業
人が担う業務
  • 表情や声色から気持ちを汲み取る
  • 家族との信頼関係づくり、看取り期の希望に寄り添う
やりがちな失敗
導入すれば人手不足がすべて解決すると期待し、職員の関わりを減らしてしまうことです。介護AIが検知した異変に対して、最終的にどう対応するかを決めるのは職員です。AIを「判断を代わりにするもの」ではなく「判断の材料を提供するもの」と捉えると、導入の目的を見誤りにくくなります。

介護AIの主な活用場面

介護AIが実際に使われている場面は、見守り・記録支援・情報共有・予測分析の4つに整理できます。それぞれ解決しようとする課題が異なるため、自施設のどの負担を軽くしたいかを起点に選ぶことが大切です。

介護AIの見守りは転倒と徘徊の早期検知に役立つ

見守りAIは、ベッドや居室に設置したセンサーやカメラの情報を解析し、転倒・離床・長時間の無動作などを検知して職員に通知します。夜勤帯のように少人数で多くの利用者を見守る場面で、通知を受けた居室に優先して対応できます。認知症対応型のグループホームでは、施設外への外出(いわゆる徘徊)の早期把握が課題になります。出入口付近のセンサーと連動させることで、外出のきっかけを早く捉えられます。

注意ポイント
通知はあくまで「確認を促すサイン」です。映像だけで状況を断定せず、職員が訪室して確認する運用を前提にします。

介護AIの記録支援は音声入力と文章整形を効率化する

介護記録は業務時間の多くを占め、記入のために利用者から離れる時間が発生します。記録支援AIは、職員が音声で話した内容を文字起こしし、生成AIが介護記録の形式に整えます。ケア直後にその場で口頭入力すれば、後でまとめて書く負担を減らせます。

注意ポイント
生成された文章をそのまま鵜呑みにしないことです。AIが事実と異なる内容を補って生成する場合があるため、職員が内容を確認・修正する工程を必ず残します。記録は個別機能訓練加算などの算定根拠にもなるため、正確性の担保は運用上の前提です。

介護AIの情報共有は申し送りと多職種連携を助ける

介護記録システムにAIを組み合わせると、蓄積された記録から申し送りに必要な情報を抽出しやすくなります。次のような多くの職種が関わる現場では、情報が分散しがちです。

  • 医師・看護師
  • 機能訓練指導員・生活相談員
  • ケアマネジャー・介護福祉士
  • 管理栄養士

たとえば、機能訓練指導員が作成した計画書の内容や、介護職員が気づいた食事量の変化を一元的に参照できれば、モニタリングや計画見直しの際に判断材料がそろいます。紙の記録を探す時間や、口頭伝達の抜け漏れを減らすことが、情報共有分野でAIに期待される役割です。

介護AIの予測分析はリスク把握と個別ケアに活かせる

予測分析は、バイタルや活動量、ADL(日常生活動作)の記録などを蓄積し、状態変化のリスクが高い利用者を早めに把握する支援です。国が運営するLIFE(科学的介護情報システム)にデータを提出すると、フィードバックを受け取れる仕組みもあります。

注意ポイント
予測はあくまで確率的な情報であり、医学的な診断ではありません。リスクが高いと示された利用者について、機能訓練計画や生活支援をどう調整するかは、多職種で検討します。

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介護AIを導入するメリットと課題

介護AIには、身体負担の軽減や安全性向上といったメリットがある一方で、費用や誤判定への対応など見過ごせない課題もあります。導入の判断は、両面を天秤にかけて自施設に合うかを見極める作業です。

介護AIのメリットは身体負担の軽減と生産性向上

見守りAIによって夜間の巡視回数を絞れれば、職員の身体的・精神的な負担が軽くなります。記録支援AIで入力時間が短縮されれば、その分を利用者との関わりや機能訓練の準備に充てられます。記録を音声入力に切り替えることで、退勤前にまとめて書いていた残業が減ったというケースもあります。

生産性の向上は、単に業務を速くすることではなく、削減した時間をケアの質に振り向けられる点に意味があります。効果の大きさは業務の状況によって変わるため、導入前後で作業時間を比べて確認することをおすすめします。

介護AIのメリットは利用者の安全性と満足度の向上

転倒や離床の早期検知は、事故の発見が遅れるリスクへのアプローチになります。夜間に異変を早く把握できれば、対応までの時間を短縮できる可能性があります。コミュニケーションロボットを会話や体操の場面に取り入れ、利用者の発話や参加のきっかけをつくる施設もあります。

注意ポイント
AIがすべての事故を防ぐわけではなく、あくまで検知の補助と捉えることが重要です。

介護AIの課題は費用・運用ルールの整備

導入時には次のような費用がかかり、費用に見合う効果が出るかは対象業務と施設規模によって異なります。

  • 機器やシステムの初期費用
  • 月額の利用料
  • 保守費用

国や自治体の補助金の対象になる場合もありますが、対象・補助率・要件は改定時点や自治体によって異なるため、所管への確認が必要です。また、機器を導入しても職員が使いこなせなければ定着しません。誰がどの場面で使い、通知にどう対応するかといった運用ルールを整えることが欠かせません。教育とルール整備を後回しにすると、高価な機器が使われず眠ってしまう失敗につながります。

介護AIの課題は誤判定と個人情報保護への対応

見守りAIは、体動や姿勢を誤って検知し、実際には問題がない場面で通知を出すことがあります。誤判定が多いと通知への信頼が下がり、かえって確認の手間が増えます。導入初期は検知の精度を確かめ、設定を調整する期間を見込んでおきます。

個人情報保護で確認したいこと
  • 誰がアクセスできるか
  • どこに保存され、どう使われるか
  • 利用者や家族への説明と同意を得ているか

カメラ映像や生体情報、介護記録は個人情報にあたります。個人情報保護への配慮は、介護AIを安心して使い続けるための土台になります。

介護AIを現場に定着させる導入手順

介護AIは導入すること自体が目的ではなく、現場に定着して初めて効果が出ます。ここでは、目的の明確化から試験運用、教育、比較検討までの手順を段階的に整理します。

介護AIは課題の見える化から導入目的を決める

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課題を見える化する
自施設のどの業務に負担が集中しているかを洗い出し、解決したい課題を1つか2つに絞ります。

夜勤の巡視なのか、記録の入力なのか、申し送りの抜け漏れなのかによって、選ぶべき介護AIは変わります。現場の課題を十分に把握しないまま導入が先行すると、機能と現場のニーズがかみ合わず定着しません。職員へのヒアリングや業務時間の記録を通じて課題を絞ることが、目的を見誤らないための出発点です。

介護AIは小規模な試験運用で効果を確かめる

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小規模な試験運用で確かめる
一部の居室やフロア、特定の業務に絞って試験運用し、誤判定の頻度や職員の使いやすさを確かめます。

試験運用では、導入前の作業時間や通知への対応状況を記録し、導入後と比較します。数値で効果を確認できれば、全館展開の判断材料になり、職員への説明もしやすくなります。うまくいかなかった点は、本格導入前に運用を見直す機会になります。

介護AIは職員教育とマニュアル整備で使いやすくなる

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職員教育とマニュアル整備を行う
操作方法と「通知が来たらどう動くか」を含めたマニュアルを整え、研修で浸透させます。

文章だけでなく、実際の画面や機器を使った研修を組み合わせると、職員が迷わず使えるようになります。ICTに不慣れな職員がいることを前提に、少人数での説明会や、質問しやすい窓口を用意するとよいでしょう。教育を一度きりで終わらせず、運用のなかで出てきた疑問を拾って手順を更新していくことが、使いやすさの向上につながります。

介護AIは補助金やベンダー比較も含めて検討する

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補助金やベンダーを比較検討する
費用対効果や補助制度の対象可否、サポート体制を確認し、最終判断します。

介護テクノロジー関連の補助制度は、対象機器や要件が改定時点・自治体によって異なるため、事前に所管窓口へ確認します。ベンダーを比較する際は、機能や価格だけでなく、導入後のサポート体制、他システムとの連携、個人情報の管理方針も確認します。第三者機関の登録・認定を受けているかも判断材料の1つです。たとえば公益財団法人テクノエイド協会が管理するTAISコードは、福祉用具の情報を登録・公表する仕組みで、登録があると補助制度の対象として扱われる際の目安になります。複数社から見積もりと説明を受け、自施設の課題に合うかを見極めます。

よくある質問

Q介護AIを導入すると人手不足はすぐ解決しますか

A介護AIは業務の一部を助ける手段であり、すべての人手不足を解消するものではありません。記録や見守りの負担を減らし、職員が本来のケアに時間を割けるようにする点に意味があります。目的を絞って導入し、削減できた時間をどう活かすかを設計することが重要です。

QICTに詳しい職員がいなくても導入できますか

A導入は可能です。操作が簡単なサービスを選び、少人数での研修や質問しやすい窓口を用意すれば、ICTに不慣れな職員でも使えるようになります。導入後のサポート体制が整っているベンダーを選ぶと、運用中の不明点にも対応しやすくなります。

Q介護AIの費用に補助金は使えますか

A介護テクノロジー関連の補助制度が使える場合がありますが、対象機器・補助率・要件は改定時点や自治体、施設区分によって異なります。導入を検討する際は、事前に自治体の所管窓口へ確認することをおすすめします。

Q見守りAIの映像は個人情報として問題になりませんか

Aカメラ映像や生体情報は個人情報にあたります。誰がアクセスでき、どこに保存され、どう使われるかを明確にし、利用者や家族への説明と同意を得たうえで運用することが前提です。データの保存・管理方針をベンダーに確認しておくと安心です。

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まとめ

介護AIは、見守り・記録支援・情報共有・予測分析を軸に、職員の負担を減らしながら利用者のケアを支える手段です。人の判断が必要な業務とAIが得意な業務を切り分け、目的を絞って選ぶことが定着の鍵になります。

この記事のまとめ

介護AIは見守り・記録支援・情報共有・予測分析を軸に業務負担を減らす手段

人の判断が必要な業務とAIが得意な業務を切り分けて考える

導入は課題の見える化から始め、小規模な試験運用で効果を確かめる

費用・誤判定・個人情報保護への対応も含めて検討する

記録や見守りだけでなく、機能訓練支援などの分野にも活用の幅が広がっています。リハまるLiteの資料もあわせてご確認いただくと、選択肢を具体的に検討しやすくなります。