当社が開発する MRリハビリテーションシステム「リハまる」 を導入いただきました独立行政法人国立病院機構 鳥取医療センターのリハビリテーション科に、リハまる導入に至った経緯や今後の活用方法などについてインタビューいたしました。
まず、リハまるを導入しようと考え始めたきっかけを教えてください。
高次脳機能障害を持つ患者様に対する訓練では、机上で行う課題が多くあります。
一方で、日常生活への汎化を考えると、実際の生活場面に近い形で、身体を動かしながら課題に取り組むことが重要だと感じていました。
しかし、単にダイナミックな動きを取り入れるだけでは、課題の再現性や難易度の段階付けが難しくなるという課題もあります。
患者様の状態に合わせて、安全に、かつ段階的に課題を調整できる方法を探していた中で、リハまるを知りました。
MRを活用することで、現実空間の中で動きながら認知課題や探索課題を行える点に、大きな可能性を感じました。
数ある機器の中から、リハまるを前向きに検討された理由は何でしょうか。
VRやMRなどの最新技術を使ったリハビリ機器を体験する中で、こうした技術が今後のリハビリテーションを大きく変えていくのではないかと感じました。
特に「リハまる」はMRを活用しているため、患者様が現実の風景を見ながら課題に取り組める点が魅力でした。
完全な仮想空間ではなく、実際の空間を認識したまま立位で動けるため、安全性にも配慮しながら、より生活に近い形で空間課題を行うことができます。
また、探索範囲や課題の難易度を調整しやすく、患者様の状態に合わせて段階的に訓練できる点も、臨床で活用しやすいと感じました。
導入してみて、現在どのように活用されていますか。

主に、半側空間無視や注意障害のある方に対する視線探索課題として使用することが多いです。
探索範囲を広げたり、妨害刺激を入れたりすることで、患者様の状態に応じた段階付けがしやすくなります。
また、どの程度の範囲を視線で追えているのかがグラフで明確に分かるため、患者様ご本人に結果をお見せしながら説明することもあります。
自分では見ているつもりでも、実際には見落としがあることを視覚的に確認できるため、患者様の気づきにつながりやすいと感じています。
さらに、自動車運転評価の場面でも活用しています。
ドライビングシミュレータの運転中にリハまるを装着し、視線記録を行うことで、運転中のミスが「左右確認の不足」によるものなのか、「確認のタイミングが遅かった」のかなど、原因を具体的に確認できます。
その結果、患者様とセラピストの双方が納得したうえで、次の練習やフィードバックにつなげやすくなっています。
リハまるを活用して感じている効果やメリットを教えてください。
リハまるの良さは、訓練の様子や結果を“見える化”できる点だと思います。
従来の訓練では、患者様に対して「左側をもっと見ましょう」「もう少し広く探索しましょう」と言葉で伝えることが中心でした。
しかし、視線の範囲や探索の傾向をグラフや記録として示すことで、患者様自身が課題を理解しやすくなります。
セラピスト側にとっても、患者様の反応や変化を客観的に把握しやすく、訓練内容の調整に役立っています。
また、現実空間の中で身体を動かしながら課題を行えるため、机上課題だけでは得られにくい、生活場面に近い訓練につなげられる点も大きなメリットです。

今後、どのように活用を広めていきたいとお考えですか。
今後は、高次脳機能障害の評価・訓練だけでなく、運転再開支援や日常生活動作に関する評価にも、さらに活用を広げていきたいと考えています。
特に視線記録は、患者様本人へのフィードバックだけでなく、ご家族への説明にも活用できる可能性があります。
「どこを見ているのか」「どこを見落としやすいのか」を共有することで、ご家族にも障害の特性を理解していただきやすくなるのではないかと感じています。
今後も、患者様の状態や目的に応じて活用方法を工夫しながら、より実生活に結びつくリハビリテーションにつなげていきたいです。
導入を検討している施設へのメッセージをお願いいたします。
リハまるは、机上課題だけでは難しい「動きながらの認知課題」や「空間探索課題」を、安全に、かつ段階的に実施しやすい機器だと思います。
高次脳機能障害に対する訓練はもちろん、視線記録を活用した評価や、自動車運転再開支援など、活用の幅は広いと感じています。
患者様の状態に合わせて訓練を調整でき、結果を視覚的に共有できる点は、臨床場面で大きな強みになります。
高次脳機能障害の評価・訓練や、生活場面に近いリハビリテーションを検討されている施設にとって、有用な選択肢の一つになるのではないかと思います。