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お役立ちコラム医療医療現場運営ノウハウ

リハビリの種類を目的別に徹底解説|疾患別アプローチ・回復期・最新MR/VR手法まで紹介

リハビリテーションの種類を整理しようとすると、職種・疾患・病期・制度・提供場所・介入手段など複数の軸が交差し、現場でも説明に迷う場面が少なくありません。本記事では、それぞれの軸を区別しながら、臨床で使える体系的な整理を提供します。

この記事でわかること

リハビリテーションはICFの観点で目標を整理し、複数の方向性で介入する

定義の核と、改善・維持・予防・代償・環境調整など多面的な介入の考え方を整理します。

PT・OT・STの守備範囲と多職種連携の実際

各職種の役割を正確に区別し、医師・看護師・MSW等を含むチーム構成を整理します。

病期・制度・提供場所ごとの重点と枠組みの違い

急性期・回復期・生活期の整理、医療保険と介護保険の違い、訪問・通所・入所の特徴をまとめます。

テクノロジーは目的ではなく評価・介入を支援する手段

MR(複合現実)・VR(仮想現実)等の技術的手段の位置づけと活用の考え方を整理します。

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リハビリテーションの考え方とICFに基づく目標設定

リハビリテーションの種類を理解する前提として、まずリハビリテーションそのものの定義と、目標を整理するための枠組みを確認します。ここを曖昧にしたまま「種類」を語ると、分類の基準がぶれます。

リハビリテーションは生活機能の最適化を支援する取り組み

リハビリテーションは、単に筋力訓練や歩行訓練を行うことではありません。心身機能、活動、参加、生活環境などに働きかけ、本人の生活機能を最適化し、望む生活の実現を支援する取り組みです。具体的には、心身機能への介入、基本動作や日常生活動作の練習、生活行為や社会参加への支援、代償手段の獲得、福祉用具や住環境の調整、家族・介護者への支援、復職・復学・趣味活動への支援、再発予防や自己管理支援などが含まれます。

「機能回復と生活維持」の2軸で捉える整理はよく見かけますが、この二分では進行性疾患への対応や予防的介入が抜け落ちます。目的もQOL向上だけに限らず、生活機能の改善、自立度向上、安全性確保、本人の選択と自己決定の支援、役割や社会参加の再獲得、再発・二次障害の予防、家族の負担軽減など多岐にわたります。

ICFの観点で目標と課題を整理する

リハビリテーションの目標や課題を整理する際は、ICF(国際生活機能分類)の考え方が基本となります。主な観点は、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子、健康状態の6つです。

重要なのは、「機能」「活動」「参加」が上下関係の3段階ではなく、相互に影響し合う点です。たとえば、身体機能の改善が十分でなくても、福祉用具の導入や住環境の調整、代償手段の獲得によって活動や参加が改善する場合があります。「トイレが自立した」だけでなく、朝昼夜の時間帯、疲労の程度、自宅と病院の環境差、屋外や公共施設での遂行状況まで含めて評価することが、本人の実際の生活に即した目標設定につながります。

リハビリテーションを整理する主な観点
  • 生活機能・目標(心身機能・身体構造、活動、参加、環境)
  • 介入の方向性(改善、維持、予防、代償、適応、環境調整)
  • 対象疾患・障害(脳卒中、運動器疾患、心疾患、呼吸器疾患など)
  • 病期(急性期、回復期、生活期)
  • 提供場所(入院、外来、訪問、通所、入所、地域、職場)
  • 制度(医療保険、介護保険、障害福祉、労災、自費など)
  • 専門職(医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、心理職など)
  • 介入方法・手段(運動療法、生活行為練習、環境調整、福祉用具、MR・VRなど)

これらはすべて異なる階層の概念です。「リハビリの種類は4つ」のように一軸に統合するのではなく、複数の観点で多面的に整理する視点が、患者・家族への説明や多職種間の共通認識を支えます。

介入の方向性は改善・維持・予防・代償など多岐にわたる

リハビリテーションの介入は「改善する」だけではありません。主な方向性として、改善・回復、維持、低下や二次障害の予防、代償方法の獲得、環境への適応、環境調整、自己管理能力の獲得、活動範囲の拡大、社会参加や役割の再獲得、家族・介護者の負担軽減があります。

生活期においても「維持」だけが目標ではなく、心身機能や生活能力の改善、新たな活動や参加の獲得を目指す場合があります。本人の状態や生活目標に応じて、介入内容、頻度、時間、強度、難易度などを個別に設定します。

専門職の役割と多職種連携

リハビリテーションには多くの専門職が関わります。PT・OT・STの3職種を中心に語られがちですが、実際には医師を筆頭に、看護師、MSW、心理職、管理栄養士、薬剤師、義肢装具士、介護福祉士、ケアマネジャーなどが対象者の状態に応じて連携します。

理学療法は基本動作・移動能力・身体機能を支援する

理学療法士(PT)は、座る、立つ、歩くといった基本動作や移動能力の獲得・改善・維持を支援します。手段は、運動療法、物理療法、基本動作練習、歩行・移動練習、バランス練習、呼吸・循環機能への介入、義肢装具や福祉用具の検討、疼痛や二次障害の予防、身体活動や健康管理の支援まで幅広く及びます。

評価指標としては10m歩行テスト、6分間歩行、TUG(Timed Up and Go)、BBS(Berg Balance Scale)、SS-5(5回立ち上がりテスト)などが用いられます。回復期病棟では、歩行自立を目指す際にバランス能力や筋力がどの水準にあるかが介入優先順位の判断材料になります。

作業療法は意味のある作業・生活行為への参加を支援する

作業療法士(OT)は、本人にとって意味や目的のある作業・生活行為への参加を支援します。対象はセルフケア(食事・更衣・整容・入浴・トイレ等)だけでなく、家事、仕事、学習、趣味、遊び、休養、地域活動、対人交流と多岐にわたります。心身機能への介入、実際の生活行為の練習、道具や環境の調整などを行います。

脳卒中後の半側空間無視(USN)に対しては、BIT(行動性無視検査)やCBS(Catherine Bergego Scale、生活場面の観察尺度)を組み合わせて評価します。BITは机上検査、CBSは食事場面で「左側のお椀に気づけるか」のような生活場面での観察で、両者は評価対象が異なります。

言語聴覚療法はコミュニケーションと摂食嚥下を支援する

言語聴覚士(ST)は、失語症、構音障害、音声障害、吃音、聴覚障害、言語発達、認知コミュニケーション障害、高次脳機能障害、摂食嚥下障害を対象とします。脳卒中後の失語症ではSLTA(標準失語症検査)、嚥下障害では藤島グレードやRSST(反復唾液嚥下テスト)、MWST(改訂水飲みテスト)などを用いて評価します。

嚥下障害では頭頸部の制御と姿勢安定性が摂食能力に直結します。座位保持が困難な症例では、PTによる体幹・骨盤帯の介入と並行して嚥下訓練を組み立てることがあり、多職種連携の典型的な場面の一つです。

多職種チームによる包括的支援

高次脳機能障害(注意障害、記憶障害、遂行機能障害、半側空間無視、社会的行動障害など)は、一職種の専有領域ではありません。医師、看護師、PT、OT、ST、心理職、MSWが症状と生活課題に応じて連携する領域です。

心臓リハビリテーションや呼吸リハビリテーションも同様です。これらはPTだけが行うものでも、運動療法だけを指すものでもなく、医師、看護師、PT、OT、管理栄養士、薬剤師などが運動・患者教育・栄養・服薬・再発予防・自己管理・心理社会的支援を包括的に行う取り組みです。

疾患領域主な対象関わる主な職種
脳血管疾患脳梗塞、脳出血、くも膜下出血医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、心理職
運動器疾患骨折術後、変形性関節症、脊椎疾患医師、看護師、PT、OT、義肢装具士
心疾患心筋梗塞、心不全、心臓術後医師、看護師、PT、OT、管理栄養士、薬剤師
呼吸器疾患COPD、間質性肺炎、術後肺合併症医師、看護師、PT、OT、管理栄養士

なお、疾患別リハビリテーション料(脳血管疾患等、運動器、心大血管、呼吸器、廃用症候群、がん患者)は診療報酬上の算定区分であり、臨床上のリハビリの種類そのものではありません。実際の介入内容は疾患名だけでなく、障害像、生活課題、本人の目標に基づいて決定されます。

病期・制度・提供場所で重点と枠組みが異なる

同じ疾患・同じ障害像でも、急性期・回復期・生活期の病期、医療保険・介護保険の制度、入院・外来・訪問・通所・入所の提供場所によってリハビリテーションの枠組みは異なります。なお診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度の改定で変更されるため、算定要件の詳細は最新の厚生労働省通知でご確認ください。

急性期・回復期・生活期の重点

急性期では、全身状態や医学的リスクを管理しながら、状態に応じて廃用や合併症の予防、適切な離床、関節可動域や筋力への介入、基本動作練習、コミュニケーション支援、摂食嚥下への介入、日常生活動作への支援、退院後の生活を見据えた評価などを行います。脳卒中ガイドラインでは早期からの離床が推奨されていますが、全身状態を無視して離床を急ぐものではなく、バイタル基準と中止基準を多職種で共有し、安全域内で活動量を確保する判断が求められます。

回復期では、機能訓練と生活課題への支援を並行し、医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、管理栄養士などの多職種チームで退院後の生活を目指します。対象疾患や発症からの日数に応じた入院期間の目安があり、1日最大9単位(180分)の集中的な提供が可能です(施設基準・改定により異なる)。FIMは重要な評価指標ですが、本人が望む生活や参加を含めて目標を設定する視点が欠かせません。

生活期では、獲得した生活機能の改善・維持に加え、活動や社会参加の拡大を目指します。趣味や役割の獲得、再発や転倒の予防、自己管理、家族・介護者の負担軽減も対象です。「維持だけ」の段階ではなく、本人の状態に応じて改善の余地を探り続ける姿勢が求められます。

注意ポイント
急性期=離床、回復期=機能回復、生活期=維持、という固定的な整理は不正確です。心身機能、活動、参加、環境調整はすべての病期で検討されます。各病期で重点は異なりますが、どの段階でも本人の生活全体を見る視点が基本です。

医療保険と介護保険の枠組み

医療保険下では疾患別リハビリテーション料として、疾患ごとに標準的算定日数と1日の単位上限が定められています。介護保険下では訪問リハビリ、通所リハビリ、介護老人保健施設等での提供が中心で、ケアプランに位置づけて実施されます。

両者の違いは、主に対象要件、制度、提供主体、算定方法、計画やマネジメントの仕組み、提供期間、医療管理の必要性にあります。「医療保険=機能回復、介護保険=生活維持」という目的での二分は不正確です。医療保険でも生活再建・活動・参加・環境調整を扱い、介護保険でも心身機能やADLの改善・自立支援を目指します

標準的算定日数を超えた場合でも、患者の状態や制度上の要件により医療保険で継続される場合があり、介護保険の対象でない人もいます。同一疾患に対する医療保険と介護保険の併用には原則として制限がありますが、移行期などに例外的な取扱いがあるため、個別の確認が必要です。

訪問・通所・入所など提供場所による特徴

訪問リハビリテーションは、本人が実際に生活する環境で動作を評価し、住環境調整、福祉用具の検討、家族への支援まで踏み込めます。頻度は本人の状態、生活目標、介入内容、疲労やリスク、自主練習の状況、他のサービス、制度上の上限などを踏まえて個別に設定します。

通所リハビリ(デイケア)はマシンや歩行スペースなどの設備を活用しつつ、他者交流による意欲の維持を図れます。入所リハビリ(介護老人保健施設)は在宅復帰を前提とした集中的な支援を提供します。どのサービスを選択するかは、本人の状態・課題・退院支援の状況に応じて決定します。

本人に合った支援設計のポイント
  • 本人が望む生活・活動・役割を確認する
  • 生活環境、家族・支援者の状況を踏まえる
  • 医学的リスクと継続可能性を考慮する
陥りやすい設計の偏り
  • 疾患名や病期だけで介入内容を決める
  • 評価指標の点数だけを目標にする
  • 本人の生活目標が言語化されないまま継続する

テクノロジーは評価と介入を支援する手段

リハビリテーションにおけるテクノロジー活用は、ロボット、センサー、デジタル機器、VR(仮想現実)、MR(複合現実)など多様な選択肢が広がっています。これらは目的そのものではなく、評価や介入を支援する手段です。

MR・VRは評価と介入における選択肢の一つ

MRやVRの主な位置づけは、課題を反復する手段、難易度を調整する手段、即時フィードバックを提示する手段、実生活に近い課題を提示する手段、動作・視線・反応を記録する手段、動機づけを支援する手段です。個別の目標や課題に応じて用いる選択肢の一つであり、「従来のリハビリ」と対立させるものではありません。

MRと没入型VRでは特徴が異なります。MRは現実環境を見ながら仮想の課題に取り組めるため、立位・歩行訓練との併用がしやすく、VR酔いのリスクも低減できると報告されています。一方、没入型VRは視界を完全に仮想空間に置き換えるため、安全管理の方法や提示できる課題、不快感の生じ方が異なります。

たとえば歩きながら認知課題を行うMR機器は、注意障害や半側空間無視への評価・介入を3次元空間で実施する選択肢として、急性期・回復期・生活期のいずれでも活用報告があります。二重課題(運動課題と認知課題の同時実施)は、生活場面を想定した訓練を構成する一手法として位置づけられます。

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本人の望む生活から逆算して支援を設計する

リハビリテーションの種類を選ぶ最終的な基準は、疾患名や病期ではなく、本人の生活課題と目標です。本人が望む生活、心身機能、活動、参加、生活環境、家族や支援者の状況、医学的リスク、継続可能性、本人の価値観や役割を総合的に踏まえ、介入を設計します。

退院支援の場面ではMSWとケアマネジャーが連携し、本人の目標と医療ニーズに合う場の選定が行われます。テクノロジーの活用も、この「本人の目標からの逆算」の中に位置づけることで、手段と目的を混同しない支援設計が可能になります。最終的な訓練の適否や負荷設定は、必ず担当医師と療法士の判断のもとで決定してください。

よくある質問

Q疾患別リハビリテーションの標準的算定日数を過ぎたらリハビリは継続できませんか

A標準的算定日数を超えた場合でも、状態の改善が期待できると医師が判断した場合などの除外要件があります。要介護認定を受けている方は、介護保険下の訪問リハビリや通所リハビリへの移行が一般的ですが、介護保険の対象でない方もいます。最新の算定要件と除外規定は改定時点の厚生労働省通知でご確認ください。

QMRとVRは何が違うのですか

AMR(複合現実)は現実環境を見たまま仮想のオブジェクトを重ねる技術で、実空間で移動しながら課題に取り組めます。没入型VR(仮想現実)は視界を完全に仮想空間に置き換えるため、提示できる環境の自由度が高い反面、酔いや不快感が生じやすく、安全管理の方法も異なります。いずれも評価や介入を支援する手段であり、対象患者の状態と施設の運用体制に応じて選択します。

QFIMやBIの点数だけで目標設定してよいですか

AFIMやBIは活動やADLを把握する重要な評価指標ですが、実際の生活環境での遂行状況、活動の質、社会参加、本人の満足度、家族の負担、時間帯や環境による変化を十分に反映できない場合があります。指標の点数と併せて、本人の希望や生活状況、環境を総合的に評価し、目標を設定することが推奨されます。

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まとめ

リハビリテーションの種類は、生活機能・目標、介入の方向性、対象疾患、病期、提供場所、制度、専門職、介入手段など、複数の観点で多面的に整理できます。いずれか一つの軸に集約するのではなく、本人の生活課題と目標から逆算して種類を組み合わせることが、臨床での種類選択と多職種連携の基盤となります。

この記事のまとめ

リハビリテーションはICFの観点で目標を整理し、改善・維持・予防・代償など多方向から介入する

PT・OT・STの守備範囲を正確に理解し、医師・看護師・MSW等を含む多職種チームで支援する

病期・制度・提供場所ごとに重点と枠組みが異なり、各軸を区別して整理する

テクノロジーは目的ではなく手段であり、本人の目標からの逆算の中に位置づける

注意障害や半側空間無視への3次元空間での評価・介入、二重課題訓練など、従来の手法を補完する選択肢としてMR・VRの臨床活用が進んでいます。具体的な活用イメージやデモのご相談は、リハまるの資料請求フォームよりお気軽にお問い合わせください。